前回のブログは休符の役割、音のない時間も音楽…といったお話をいたしましたが、
本日は、フェルマータについてのお話です。
フェルマータとは、音楽用語の一つで、『音符や休符を十分に伸ばす』という延長記号のことです。
↓フェルマータ記号(お目目みたい)
音符の上(下に付いているときもあります)に付いていたら、その音を長めに保持。
休符の上についていたら、休符分を長めに伸ばす~という意味なのですが、
伸ばす時間のきまりが明確ではなく、演奏者の解釈で自由に伸ばせる記号なので、
演奏者のセンスと感性がうかがわれる「自由な難しさ」があります。
短すぎると作曲者の意図を十分に汲んでいない幼稚な感じがしますし、
長すぎると、あらら?どうしちゃったのかなと^^
重厚感と余韻を通り越すほど伸ばしてはいけませんね。
音楽専門用語の辞書には「フェルマータは音符(休符)の約2倍延長」と書かれていますので、
それを目安に伸ばしたら良いでしょう。
でも小さなお子様にはなるべく具体的に教えてあげないと、どこまでも長く伸ばしたり、またはフェルマータが見えないかのごとく、そのまま次の旋律に進むことが多いので、
『フェルマータが付いているから、ターアーと2拍のばしてね』と具体的に先生の感性で決めて差し上げるのが良いですね。
ではフェルマータ記号が楽譜画像のように音符や休符の上ではなく、曲の終止線の上に付いている場合はどのような意味になるのでしょう?
↓
『音符がないのに、何を延長したら良いと思う?』と子供たちに聞いてみます。
子供たちはよくわかっていますね♡
そうです!
音楽が終わっても最後の響きが消えた後の余韻(残響)を楽しんでほしいという作曲者の思いがあるのです。
その意図を汲み、演奏者は最後の音をてねいに見送るように、音が消えても手や腕を動かさず、旋律の回想をしてほしいのです。
そしてピアニストが鍵盤から手を下した時に、はじめて演奏が終わった合図になります。
演奏会ではここで拍手が来ます。
曲の終りにフェルマータが付いている曲を演奏するときは、最後の音を弾き終わってもすぐに手を膝に置かず、
鍵盤上で静止し、音楽の余韻を聴き味わってくださいね。
さあ門下会コンサートまであと2週間!来週はリハーサルです。
門下生の皆様は暗譜で演奏できる状態に仕上がっておられますが、作曲者が私たちにどのように演奏してほしいかをくみ取るためにも、もう一度よく楽譜を見直してくださいね。
楽譜に書かれているのは音符だけではありません。
強弱記号や速度記号、フェルマータなどのさまざまな記号の助けがあって、
何百年経っても作曲者の思いを、今この時代に於いてピアノで表現できるのです。
その浪漫を、ぜひご一緒に味わってまいりましょう。
(近藤直子)